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2026.08.02

読み書きしかできない

これまで

文章を書く人工知能のことを、大規模言語モデルという。英語で large language model、その頭文字をとって LLM とも書く。オープンAIの GPT、グーグルの Gemini、アンソロピックの Claude が、それにあたる。以下ではモデルと呼ぶ。

AIに何ができるのか。

文章と、画像と、音声の読み書き。それと、プログラミング。それだけである。

四つしかない

順に並べる。

文章を読む。文章を書く。これがもとの機能で、翻訳のために作られたものがそのまま来ている。

画像を読む。画像を作る。写真を見せて何が写っているかを言わせるのも、言葉から絵を作らせるのも、両方できる。

音声を聞く。音声を話す。録音を文字に起こすのも、文章を声にするのも、いまは同じ仕組みの中に入っている。

プログラムを書く。これは文章の一種である。プログラミング言語は人が読み書きするための記法なので、モデルの側から見ると日本語と変わらない。

以上で全部である。

全部、並べる仕事だからだ

四つに共通しているのは、確率で少しずつ並べれば形になる、という点である。

文字は一つずつ並ぶ。プログラムの記号も一つずつ並ぶ。画像は雑音から少しずつ形に寄せていく。音声も細かい単位に切って順に決めていく。手順の細部は違うが、次に来そうなものを選んで足す、という動作は同じだ。

だから、この四つはできる。そして、この動作に落ちないものは、一つもできない。

「AIが〇〇した」を開けてみる

世の中で言われている話を開けると、必ずこの四つのどれかに入っている。

AIが会議を要約した。音声を読んで、文章を書いた。二つの組み合わせである。

AIが資料を調べた。検索したのは外側のプログラムで、モデルは返ってきた文章を読んで、文章を書いた。探す仕事は、していない。

AIがグラフを描いた。グラフを描くプログラムを書いて、それを外側で実行した。絵を直接描いたわけではない。

AIが予約を取った。この道具をこの内容で使え、という文字列を出して、実際に予約の操作をしたのは外側のプログラムである。

AIが表を作った。区切りのついた文章を書いた。表として見えているのは、それを受け取った側の表示である。

どれも、モデルがやったのは読むことと書くことだけだ。動いた部分は、全部その外にある。

四つの外にあるもの

裏返すと、この四つの外にあるものは、モデルには何一つできない。

覚えておくこと。前の話は残らないので、外側が毎回詰め直している。

数えること、順に処理すること。途中の値を持ち回る手続きは、並べる動作の外にある。

実行すること。文字列を出すところまでで、動かすのは外側である。

正しいかどうかを確かめること。そういう検査は仕組みに入っていない。

そして、これらは賢いモデルが出れば解ける類の話ではない。動作が入っていないので、外に足すしかない。

少ないが、足りている

四つしかない、と言うと少なく聞こえる。実際には足りている。

人の仕事の多くが、読んで書くことでできているからである。会議の内容を整理する、資料をまとめる、返事を書く、仕様を決める、それを形にする。並べてみると、ほとんどが読み書きだ。

そのうえ、四つのうち一つがプログラミングである。プログラムを書けるということは、四つの外にあるものを作れるということでもある。数えるのも、実行するのも、確かめるのも、それをやるプログラムを書かせればいい。

読み書きしかできない。だが、読み書きの中に、読み書きの外を作る道具が入っている。

近いところ — 意味でつながる考えと作品
考えていること
コードが書けるのは、コードが文章だからである
プログラミング/記法/記号 が重なる
作ったもの
自動でメールに返事するAI
手を動かした実物